2024年(R6)11月19日(火)2名
JR御殿場線山北駅には午前9時34分に到着した。北側出口から駅前広場に出てタクシー乗り場を探す。「あれっ! タクシー乗り場がないよ!」だが、よく探してみたら駅前広場の左側の突き当りにあった。古びたベンチが置かれてありタクシーは停車していなかった。タクシー会社に電話して山北駅前まで配車の依頼をする。なかなか来ないので再度の電話でようやく来てくれた。前日、予約しておこうかと迷ったのだが、平日だから何とかなるだろうと思った。やはり予約すべきだった。タクシー待ちで40分ぐらい時間を無駄にした。最近は山でタクシーを使うことなど滅多になくタクシーアプリなど思いもよらなかった。次回からはタクシーアプリを使用することにしよう。そうすれば何社も電話する必要がなくなる。タクシーの運転手は年のころ30~40歳位の女性で東京から山北町へ移住して来たと言っていた。人口が減っている山北町だから町もきっと歓迎しているに違いない。
山北駅からタクシーは国道246号を経てくねくねとした山の車道を走り大野山山頂付近のイヌクビリまで30分程度かかった。朝の内は晴れていた天気は次第に雲が多くなり富士山もすっかり隠れてしまった。大野山の山頂一帯は牧場でもあり草地が多く稜線には道路が造られ電柱も立っている。
大野山は丹沢大山自然公園に属する丹沢山地の山である。
イヌクビリから西に標高723.1mの山頂部があり東には663mのピークがあり山頂部とは1.2kmほどの距離がある。両ピーク間には樹林が少なくなだらかな地形で草地が広がっており展望が良い。峠であるイヌクビリへは車で行くことができる。十数台止められる駐車場もあり簡易トイレも設置されている。イヌクビリとは何とも恐ろし気な地名だがその由来とは・・・。その昔このあたりにヤマイヌが出没して人を襲うようになった。村人は怖がり山仕事にも行けない。そこで深沢地区に住む大野という人がひそかに罠を仕掛けヤマイヌがかかるのを待った。数日して罠にかかったヤマイヌを捕まえてくびり殺した(絞め殺した)。それでイヌクビリの地名が付いたという。・・・ヤマイヌ(山犬)はニホンオオカミの別名だとされる。かってニホンオオカミは本州、四国、九州に分布し、1905年(明治38年)1月に奈良県で捕獲されたものを最後に絶滅したとされる。従ってこの言い伝えは1905年以前の話なのだろう。大野山の由来もこの狼を退治した大野さんから来たのかも知れない。
関東の富士見百景【90】山北町からの富士(神奈川県) 国土交通省関東地方整備局
大野山の牧場について
このなだらかな地形を生かして1968年(昭和43年)4月に乳牛の育成牧場を神奈川県が開設した。そして毎年4月に県内の酪農家から生後半年の雌牛を預かり夏に放牧し1年半で受胎させ酪農家へ戻す事業を行った。開設から47年間で育てた牛は3,384頭であった。
2015年(平成28年)3月31日には県営牧場としては県の財政上の理由で廃止された。
2015年(平成28年)4月以降は民間事業者に施設の一部を無償貸与する方針が立てられた。
2015年(平成28年)4月1日から、牛舎やまきば館などは、株式会社門屋食肉商事が借り受けることとなった。
2018年(平成30年)6月以降は薫る野牧場として運営されている。薫の牧場
牧場主の花坂薫さんは自然放牧で有名な岩手県の「なかほら牧場」で働いたのちにご主人と共にこの地で牧場をつくりあげた。薫る野牧場のこと
写真を撮りながら大野山山頂に向かう。畦が丸や大室山、丹沢湖が良く見えたが富士山は雲に閉ざされていた。老夫婦らしい二人連れは4時間もかけて登って来たと言っていた。こちらはタクシーで楽して登って来たので何だか申し訳ない気がしたので話さなかった。富士山も見えないし陽が陰りうすら寒いので早々に退散することにする。楽して登ったためか山頂にあまり未練はなかった。今日の目的の富士山はだめだったが、下りの紅葉と山北つぶらの公園はどうだろうか?
ススキが生える段差の大きい階段を下っていく。次々と登ってくる登山者とすれ違う。特に若い人が多い。下っていくと新東名高速道路の工事区間が見える。いくつものクレーンが橋脚の工事を行っている。どうやらあそこが山北スマートインターチェンジらしい。車を運転しなくなって久しいから高速道路にはほとんど関心がない。だがこのような光景をみると大工事なんだな~とやけに感心する。
スマートインターチェンジ(スマートIC)とは、高速道路の本線やサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)などから乗り降りができるように設置されるイ ンターチェンジであり、通行可能な車両(料金の支払い方法)を、ETCを搭載した車両に限定しているインターチェンジです。
スマートインターチェンジには、高速道路の本線に直接接続する「本線直結型」と、サービスエリアやパーキングエリアに接続する「SA・PA接続型」がありますが、山北町に設置されるスマートインターチェンジは本線直結型となります。引用:山北町HPより
今年は秋が遅かったためか紅葉もあまりぱっとしない。だが山の斜面の木々には幾分色づきかけているところもある。登ってくる登山者がしばし見とれていた。
谷峨は昔は谷ケ(やが)と書いた。上から見ると集落が散らばることなく、盆地状の地形の関係で小さくまとまったように見える。画像の中央左が谷峨駅で駅前に昔の箱根関所の一つだった「谷ケ関所跡」がある。谷峨駅は鉄道開業当初は信号場だった。その後、その信号場が地元民の要望により1947年(昭和22年)谷峨駅になった。当時は薪や炭の発送などにも谷峨駅が利用された。
途中に新しい東屋があり何人か休憩していた。更に下っていくと車道の手前にも小さな東屋がありそばに無人食品売り場があった。箱の蓋を開けると漬物や梅干しや瓶詰などが置かれてあった。連れがブルーベリーの瓶入りジャム\500を一個購入する。車道に出ると直ぐに谷峨駅とつぶらの公園への標識があり更に下っていく。階段を降り切ると開けた緩やかなところに出た。ここが谷峨方面とつぶらの公園の分岐だった。
直進して緩やかな道を行く。軽自動車が通れそうな幅で林道のようである。ほとんど起伏がなく緩やかに下って行った。
簡易舗装された路に変わると間もなく分岐路に出た。山北つぶらの公園入口の看板と登っていく石段があった。
神奈川県立山北つぶらの公園
県立山北つぶらの公園は、県西部の山北町の南部に位置する公園です。園内には、サクラやヤマブキなどの花木が楽しめ、富士山や大野山を一望できる「さくら山展望広場」や、ミツバツツジやヤマツツジ等の花木が足柄平野や相模湾を一望できる「つつじ山展望広場」、斜面を利用した滑り台が楽しめる「遊具広場」など、県西部の自然を満喫できる施設があります。
また、大野山など周辺の山々へのハイキングの拠点としても利用いただけます。計画面積約105.9ヘクタールのうち、約17.9ヘクタールが開園しています。天空の丘ともいうべき開けた空と澄んだ空気、そして何より富士山や足柄平野の眺望。都会にはない緑豊かで静かな環境の中、のんびりとお過ごしください。
神奈川県立山北つぶらの公園 開園2017年3月25日
神奈川県立都市公園一覧
神奈川県の公園一覧
階段を登りきると直ぐに駐車場であった。右手にトイレがあり左側にテーブルベンチが一つあった。テーブルベンチには「火気の使用は禁止」と表示されていた。最近はガスバーナーを使用せずステンレスボトルでお湯を持ってきていたので問題なかった。(後日、公園にメールで確認したらガスバーナーの使用は禁止とのことだった。ただパークセンターのスタッフに声掛けすれば熱いお湯が用意されているようだ。)テーブルベンチで休憩し簡単な昼ご飯にする。日が差さず少し寒い。園内を散策する。さくら山展望広場(429m)へ登ると正面に大野山の全容が見える。あとはルートに沿ってつつじ山展望広場(432m)にも登ってみる。ここからは相模湾方面が見えた。園内を歩いてみた印象としてはアスレチックや遊具などが多く、小中学生や家族連れを主な対象としている感じを受けた。ただ園内は起伏があり展望が素晴らしい。次回はサクラやツツジの咲く季節に訪れようと思う。
都夫良野(つぶらの)からの眺望
相模国に所属する郡・村の沿革・地誌を網羅した「新編相模国風土記稿」(しんぺんさがみのくにふどきこう)は、江戸時代(天保12年(1841年))に編纂された相模国の地誌ですが、その中の「地蔵堂眺望図」に、このあたりから見えた相模湾方面の眺望の素晴らしさが述べられています。なお、「地蔵堂」とは当公園に隣接する「都夫良野地蔵堂」のことです。
また、地誌に記されている鐘ヶ塚(かねがづか)という古塚は戦国時代の遺跡で、現在のつつじ山山頂付近にあったと考えられています。県指定史跡「河村城跡」がよく見え、城との関わりが見て取れます。「此堂前より四望すれば西に富嶽・鋸山、南に箱根・猪ノ鼻ヶ嶽・足柄峠等の山岳遥かに聳え、近くは谷ヶ平山・内山等の山々を眼下に望む、東方には房州の浦々及び本州三浦御崎・江ノ島の地杳に見え、近くは酒匂川の田間に曲流するを望めり、委しく縮圖に就て、言外の勝趣を創造すべし」(旧字のまま)
引用:つつじ山展望広場案内板より
つつじ山園路に下りパークセンター前を通って駐車場に戻った。駐車場でタクシー会社2、3社に電話をするも「そちらのほうへは行けない」とかで来てくれそうにもない。ここは陸の孤島なんだな!仕方がない谷峨駅まで歩くことにする。駐車場から階段を降りる。間違えて左方向の山北方面に行くと公園の隅に都夫良野地蔵堂があった。元の公園入口に戻る。谷峨方面へは山北つぶらの公園入口正面の道をそのまま下っていくのだった。少し下ると二又がありここは左手に下っていく。あとはひたすらヘアピンカーブの車道を下っていく。ほとんど車が通らない道であった。民家が出てきて車道がT字路に突き当ったら左に曲がり川沿いを行く。吊り橋が見えてくるので吊り橋を渡る。
目の前に田園風景が広がり前方に高架の東名高速道路が見える。田園の中を進み左手のスロープ状の道路を登り御殿場線の陸橋を渡る。左折して100mほど行くと谷峨駅である。
コースタイム 歩行3時間30分 歩行距離8km 累積の登り274m 下り776m
御殿場線山北駅(タクシー\4200)10:20~10:50イヌクビリ(🥾20分)➡11:10大野山(休憩20分)11:30(🥾60分)➡12:30分岐➡(🥾20分)12:50山北つぶらの公園(休憩40分)13:30(散策🥾50分)14:20(🥾40分)➡15:00吊り橋(🥾20分)➡15:20谷峨駅
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